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安全のハード面とソフト面

安全のハード面とソフト面

 米国のトランプ大統領が発した大統領令により、国内外に大きな混乱が生じている。反発が起きているのは、メキシコとの国境沿いに壁を建設し、すべての国からの難民受け入れを凍結し、イスラム圏7カ国からの一般市民の入国を禁止するといった大統領令だ。
 
これらは「国家の安全」を旗印にしたものなので一緒くたにされがちだが、ハード面の対策とソフト面の対策は分けて考えた方がいい。
 例えば、「学校の安全」を考えるときは、門を閉めるというハード面と地域住民と連携するというソフト面を区別することが必要だ。大阪教育大学付属池田小事件が起こるまでは、学校現場ではそうした意識が薄く、地域住民と連携する取り組みには消極的なのに、門を開けっ放しにすることで「開かれた学校」と主張していた。この奇妙な主張は、障害者や高齢者の福祉施設には未だに見られる。
 「家庭の安全」も同様だ。戸締りをしっかりしながら、近所付き合いを積極的にすることが大切で、その逆に、戸締りをせず、近所付き合いをおろそかにすると、家庭を危険にさらすことになる。

 難民の受け入れ凍結やイスラム7カ国からの入国禁止の措置については、執行の差し止めは織り込み済みで、支持者へのメッセージ効果を狙ったものかもしれない。

 もっとも、この問題を「画一性と多様性をめぐる争い」という視点から考えるのも無駄ではあるまい。

 いち早く「多様性」の安定化機能に気づいたのはアレクサンドロス大王であり、ローマ帝国やオスマン帝国が長きにわたって繁栄したのも「多様性」を保証したからだ。それに引き換え、「画一性」を追求したナチスドイツやソ連の末路は悲惨だった。米国自身はと言えば、「多様性」のトップランナーだったのではないのか(「グッド・ライ」という優れた難民映画もある)。

 歴史の単純な類推は禁物だが、歴史の教訓から学ぶことは多いはずである。


立正大学教授(犯罪社会学)
小宮信夫

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