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防犯意識ではなく防犯知識

防犯意識ではなく防犯知識

 今月から、名古屋の中日文化センターで犯罪学の連続講座が始まった。第1回では、先月起きた「神戸女児殺害事件」について詳しく解説した。ボクの現場レポートを放送したNHK『かんさい熱視線』も視聴してもらった(そのフィールドワークに同行したNHK解説委員のレポートはこちら)。

 この番組でボクが強調したのは、「今後必要になるのは、防犯意識ではなく防犯知識」ということだ。

 子どもの安全といえば、相変わらず、防犯ブザーを渡し、「大声で助けを呼ぶ」「走って逃げる」と指導している。しかし、これらはすべて襲われた後のことであり、犯罪はすでに始まっている。つまり、予防(防犯)ではないのだ。危機管理の言葉を使えば「クライシス管理」である。これに対し、予防は「リスク管理」と呼ばれている。犯罪者に近づかれないためにはどうすればいいか――これこそが「リスク管理」であり、予防(防犯)なのである。

 そもそも、子どもの連れ去り事件の過半数は、だまされて自分からついていったケースである(警察庁「略取誘拐事案の概要」)。宮崎勤事件も、神戸のサカキバラ事件も、奈良女児誘拐殺害事件も、だまして連れ去ったケースだ。「クライシス管理」では、こうした事件は防げない。

 さらに、パトロールにも大きな限界がある。警察官によるパトロールを分析したマーカス・フェルソン教授(テキサス州立大学)によると、「それぞれの場所が見られている時間は1日につき15秒」「1日の99.98%は警察官に守られていない」という。

 「リスク管理」、つまり「自ら危険を予測し、回避する」(文部科学省「学校安全の推進に関する計画」)ためには、地域安全マップづくりによって、子どもたち一人ひとりの「景色解読力」を高めるしかない。そのことに早く気づいてほしい。


立正大学教授(犯罪社会学)
小宮信夫

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